海外進出
巨大市場のニーズに応える
高品質の種子の開発をめざして。
中国山東省青島莱西市。のどかな田園風景が広がるこの大地に、中原採種場(株)の中国拠点である「青島昌農種苗有限公司」がオープンしたのは平成8年春のことでした。総面積約7ヘクタール。なんと福岡ドームがすっぽり入るほどの広大なフイールドに、建坪800坪の研究棟と倉庫、1,200坪のハウスが整然と並ぶ大規模研究農場です。
この独立資本の研究農場は、ますますの人口増大が予想される21世紀に照準を合わせ、中国国民の食糧の完全確保をめざす国家プロジェクトのひとつとして誘致建設されたものです。というのも、すでにl0億人を超える人口を抱える中国では、年々増加する野菜需要に供給が追随していないのが現状であり、収量が多く病害虫に強い優良種苗の導入と育成が急務となっています。この国でも、Flのように収量が倍増する新品種が数多く開発されれば、内陸部を中心とした慢性的な食糧不足は解消され、より豊かな食の大国として発展を遂げるのは間違いないでしよう。
将来的には、中国本土に
さらに3ヶ所の研究拠点を展開。
青島昌農種苗有限公司の目下の活動は、キャベツやキュウリ、ハクサイ、ホーレン草といった在来品種の特性の洗い直しと、これらの品種を日本の品種とドッキングさせるための研究開発が主体となっています。
スピードはゆるやかながら、今中国ではライフスタイルの変化に伴う食生活の変革が進んでいます。野菜に対する消費者の嗜好も今後当然変化するものと予想され、現在の日本のようにさまざまな付加価値が求められるようになるでしょう。私たちは、こうした市場二一ズに応えうる新品種開発の第一段階として、綿密な市場調査や品種分析といったデータベースづくりに取り組んでいる最中なのです。そして、こうしたデータに基づき中国本土に合った新品種の開発を進め、将来的にはこの地を種子の販売拠点としていく青写真ができています。
さらに今後は包頭(蒙古自治区)、厦門(福建省)、蘇州(江蘇省)へも研究拠点を展開し、巨大な中国市場へ種子の安定供給を図っていく計画です。中国における育種の歴史が塗り変わるXデーは、確実に近づいています。